診療科・部門
院内がん情報登録室
特徴
1. 院内がん登録について
院内がん登録とは
現在、我が国においては、すべての人が平等に同等のがん医療サービスを受けられることを目指して、地域がん診療の仕組みを築いております。しかし、”同じレベルの医療“を評価することほど難しいことはありません。そこで、がん治療の現状を調査する仕組みが『全国がん登録』です。国立がんセンターを中心として、統一した評価を行うことが公表され、がん治療を多数行っている当院においても院内がん登録を積極的に行い、『全国がん登録』に寄与したいと考えています。今後、登録内容の集計により、がん治療の情報提供がなされ、がん治療選択の重要な情報源となると考えられます。ご理解とご協力をお願い申し上げます。
登録内容と登録期間について
がん登録に必要な項目は、がんを罹患されたご本人の病院の受診内容です。氏名、生年月日、病名、受診日や治療内容について詳細に登録されます。登録期間は、治療経過中、または、治療終了後も含み、定期的に現在の状態をカルテなどからお伺いします。
個人情報の保護について
平成17年4月1日から個人情報保護法が施行されています。それに伴い、個人情報の取り扱いについて医療施設においても対応しております。院内がん登録の内容は、院内がん登録室に提供されますが、公衆衛生上の目的以外には使用しません。また、外部に漏れることの無いようにカルテ同様に厳重に保護しております。疾患等の調査や研究に用いる場合は、個人情報(氏名、生年月日など)を削除した上で集計しますので、個人の特定は不可能にします。赤心堂病院で登録内容について使用する場合も同様に個人情報を削除します。
以上『院内がん登録』へのご理解とご協力をお願いしてまいりましたが、さらに詳しい情報を必要な場合には、以下のWeb情報をご参照ください。
2. 臨床研究について
臨床研究とは
対象となる患者さんに薬の安全性や有効性を確認する試験を「臨床試験」を呼びます。それに対して、厚生労働省から新薬として承認を受けるために行う試験を「治験」と呼びます。癌治療の現場では、臨床試験を医師主導で薬剤の効果を確認し、副作用を確認することを「臨床研究」として行います。「臨床研究」は日本全国の病院から多施設が参加して行うものが多く、無作為に登録され、治療経過を詳細に報告することで、治療効果や有害事象の有無を確認します。そのため、参加には、主研究員のIRB(治験審査委員会)の承認が必要であり、各病院のIRBや倫理委員会を通過する必要があります。これら委員会の承認を得ることは安全性や効果について十分検討された研究であることが証明されます。臨床研究に参加することは、病院としては公明性と開示性を認めることとなります。また、患者さんとして参加されることは、厳重な管理で安全性と効果判定を受けることとなり有利なことが多くなります。
治験コーディネーター(CRC)とは
「臨床研究」や「治験」では、医師や薬剤師、看護師などの医療従事者と患者さんとのコミュニケーションが重要になってきます。治験コーディネーターは、研究をスムーズに進むため、研究の主催者と医療従事者、患者さんの橋渡しを行います。
当院での臨床研究とは
当院では、できる範囲内で臨床研究に加わっております。透明性と妥当性を検討した倫理委員会を通過した臨床研究のみを行うこととしています。現在、一名の治験コーディネーターが活躍しております。データマネージャーを兼任しており、各研究の事務局との連絡を行っております。登録された患者さんの個人名については、いずれの研究でも匿名化されており、個人情報保護法の範囲内で報告されています。登録に際しては、十分説明を受け、納得された方のみを対象としています。登録を依頼された時には、十分に説明を聞かれて、同意して下さい。
3. 通常業務
- ①ケース・ファインディング(登録対象者の見つけ出し)
- ②電子カルテ病理診・細胞診等検査報告書のチェック(がん情報の選別、抽出)
- ③PCデータ入力および「CAサマリー」作成(がん情報の登録)
- ④院内がん患者の生存率の測定(予後調査)
- ⑤院内がん登録データの活用(各種統計資料の作成)
- ⑥全国がん登録事業、一般社団法人NCD、日本乳癌学会等の外部機関へのデータ提出
- ⑦臨床試験の管理及びCRF(※)の作成、提出(CRC業務)(※)試験症例報告書
- ⑧外科系専門医療制度症例データベース「NCD」への乳癌データ提供