赤心堂病院

埼玉県川越市脇田本町25-19
049-242-1181

社会医療法人社団尚篤会 赤心堂病院

診療科・部門

内視鏡室

特徴

上部検査室の画像 下部検査室の画像

当院では内視鏡検査室を赤心クリニックに設置し、内視鏡医・スタッフを 充実させ内視鏡水準の維持・向上に努力し、地域医療に貢献できるよう心掛けています。
尚、赤心堂病院内視鏡検査室は日本消化器内視鏡学会認定指導施設であり、指導医3名・専門医3名・認定技師2名を含めた優秀なスタッフが検査に当たっています。
現在、通常の上部消化管(食道・胃・十二指腸)内視鏡検査は年約1570件、下部消化管(結腸・直腸)に関しては約1200件を診療しています。

上部内視鏡では鼻から挿入する経鼻内視鏡を導入し好評を得ております。経鼻内視鏡は、検査中会話ができ、口からでは咽頭反射が強い方などに適しています。内視鏡検査時に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を認めれば、その場で本人の同意を得た上で、組織を採取し、迅速ウレアーゼ試験(RUT)を行いヘリコバクター・ピロリ感染の有無を検査します。陽性の場合は、外来での除菌療法を考慮するようにしています。
健診で便潜血陽性の患者様には、ポリープや大腸がんの検索のために大腸内視鏡検査を受けて頂いております。

治療内視鏡では、上部消化管出血に焼灼・エタノール局所注入・クリッピング等による止血術を、食道静脈瘤には内視鏡的硬化療法(EIS)・内視鏡的静脈結紮術(EVL)を緊急例および予防例に施行しています。早期胃癌に対して、可能ならば内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)、内視鏡的 粘膜下層剥離術(ESD)を行っています。 また、下部消化管では内視鏡的ポリープ切除(ポリペクトミー)やEMRを積極的に行っています。
経口摂取が困難となった患者様に対しては、直接お腹から胃に栄養を注入することができる経皮内視鏡的胃瘻増設術(PEG)を行っています。
その他、膵・胆管系の検査では内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)をはじめ、総胆管結石に内視鏡的乳頭切開術(EST)・内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)後にバスケットやバルーンによる截石術を、悪性胆道狭窄には内視鏡的に胆管内ステント留置術なども行っています。

今後、消化管の診断・治療における内視鏡検査の役割は増えていくと思われます。我々は、患者様に不安を与えず、安全に検査ができるように心掛けて診療にあたっておりますが、お気付きの点やご不明な点がありましたら、どうぞお気兼ねなく当院スタッフにお声掛け下さい。適切に対応させて頂き、内視鏡検査が身近に感じられるよう、更に努力してまいります。

診断実績

令和4年度

上部内視鏡 下部内視鏡 ERCP(治療) 特殊検査
総数 1565件 総数 1217件 総数 39件 総数 14件
主な処置
治療等
経鼻 1202 生検 111 EST 26 大腸ステント 4
検診 54 治療 ポリペク
/EMR
264 EPLBD 1 パテンシー 1
生検 273 ESD 14 採石 12 小腸カプセル 1
ウレアーゼ 17 止血術 7 砕石 7 大腸カプセル 0
治療 ポリペク/EMR 1 - ENBD/ENPD 0 EVL 0
ESD 7 ERBD 25 下部拡張術 1
PEG 2 ERPD 6 腸捻転解除術 0
止血術 5 - -

感染予防対策

内視鏡洗浄消毒装置OER-3

内視鏡検査では、消化管への内視鏡挿入に伴いウイルスや細菌などの微生物の感染が問題となります。当院では、日本消化器内視鏡学会の「消化器内視鏡の洗浄・消毒マルチソサエティガイドライン」に準じて全検査1件ごとに内視鏡スコープの洗浄、高レベル消毒を行い、処置具のディスポ化を図っており安心して検査をお受け頂けます。また、2010年4月から洗浄履歴を行い、より安全性の向上に役立てております。

スタッフ

7名(すべて女性:看護師6名) / 内視鏡技師免許取得者|3名

担当医師

外来担当表へリンク

医療レポート(ヘリコバクターピロリ)

最近の話題として、ピロリ菌による胃潰瘍や十二指腸潰瘍が問題になっています。ヘリコバクター・ピロリとは胃内に生息するウレアーゼを分泌する細菌で、現在では消化性潰瘍の発現に大きく関わっ ていると考えられています。また、胃癌との関連も指摘されています。
ピロリ菌は、主に幼少期に衛生環境が良くない時期 に経口感染したと言われています。50歳以上では約80%が感染しています。感染した胃は除菌しない限り炎症が起こり、慢性胃炎を引き起こします。炎症が慢性的に持続する と、胃の粘膜は防御する力が弱まり、ストレスや塩分、発がん物質などの外的因子で胃潰瘍や十二指腸潰瘍、また胃癌を発生することになります。しかし、頻度的には潰瘍や胃癌を発生せずに慢性胃炎の状 態で一生を終える人が殆どです。

ピロリ菌検査法には以下のものがあります。

尿素呼気試験法

呼気に含まれる13Cを計測

抗体・抗原法

尿や血液、糞便中のピロリ菌に対する抗原や抗体を調べる

培養法

ピロリ菌を培養して判定

迅速ウレアーゼ法

ピロリ菌が持っているウレアーゼにより作られ るアンモニアの有無を調べる

組織鏡検法

生検組織を染色し、顕微鏡で調べる
ピロリ菌を除菌することにより、維持療法なしに胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発が抑制されることは世界的にコンセンサスが得られています。そこで当院でもピロリ菌の除菌療法を行っています。
内視鏡検査時に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を認めれば、その場で本人の同意を得た上で、組織を採取し、迅速ウレアーゼ試験(RUT)を行います。もし陽性であれば、外来での除菌療法 を考慮するようにしています。
除菌療法は、抗生物質のアモキシシリン(AMPC) とクラリスロマイシン(CAM)、酸を抑えるプロトンポンプ阻害剤(PPI)の3剤を一週間服用してもらいます。副作用としては下痢や軟便、味覚障害などを起こすことがあります。その時には外来を受診して頂き、担当医より適切な処置を施すようにしています。除菌の判定は、除菌後6~8週後に内視鏡を行わずに判定できる尿素呼気試験(UBT)にて確認しています。除菌が成功した患者様は、胃部不快感等の症状は消失し、食欲も改善しています。

医療レポート(大腸がんの検査)

便潜血検査

赤心堂総合健診クリニックでは大腸癌検診に便潜血検査 を施行しております。
便潜血検査は、肉眼的にみえない便中の血液反応(ヘモグロビン)を調べることにより消化管出血(胃や腸からの出血)を診断する検査方法です。検査法の種類には触媒法や免疫法がありますが、当センターでは免疫法を用いています。この方法は、免疫反応を利用して人のヘモグロビンだけを検出するため、食事や鉄剤(貧血の薬)の影響を受けず、また上部消化管出血(胃や十二指腸の出血)ではほとんど陽性とならないため、大腸がんなどの大腸出血 (下部消化管出血)の診断に広く用いられています。しかし、痔などの肛門出血や大腸ポリープ、大腸炎などの大腸がん以外の病気でも陽性になり、逆に大腸がんでも陽性にならない場合もあり、その判断には専門医の意見をよく聞くことが重要です。大腸がんを診断する検査ではありませんのでくれぐれもお間違えのないように注意してください。当センターの便潜血陽性例中約10%にポリープが、約1%にがんが見つかります。逆に早期がん患者の30-50%に、進行がん 患者では75-90%に便潜血が陽性となると言われています。大腸がんを早期に診断するには、症状がなくても年に一度は大腸の精密検査(注腸造影検査、大腸内視鏡検査)を受けるよう心がけましょう。
赤心堂病院では予約により毎日検査を施行しております。

注腸造影検査(大腸レントゲン検査)

この検査は、肛門より造影剤(バリウム)を注入(ちょうど、浣腸液を入れるように)して、大腸へのバリウムの流れや通過の様子、粘膜の状態、大腸の潰瘍、がん、ポリープなどの病変の診断に用いられます。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)

この検査は、下部消化管(直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸)を内視鏡で観察します。大腸内部を肉眼的に観察できるだけでなく、潰瘍やポリープ、がんの診断と治療にも利用されています。この検査法を有効に利用して、病気の早期発見・治療に役立てて下さい。
検査前日は低残査食(便に残らないような食事)に変更し、下剤を内服して頂きます。検査当日の朝はさらに約2lの水溶性下剤を飲んで頂きます。大腸内に便が残っていると、検査ができなかったり、正しい診断ができないことがありますので、前処置の方法は必ず守りましょう。外来看護師の説明をよく聞いて間違いのないようにしてください。
検査の前に腸の動きをゆるめる注射をすることがあり ます(高齢者や前立腺肥大、緑内障、心臓病のある人、薬のアレルギーのある人には使用しませんので、申し出て下さい)。注射の作用で、目がチカチカした り、のどがかわいたりすることがありますが、しばらくするとさめてきますので、休んでから帰宅してください。内視鏡検査中、内視鏡より空気を送り、腸をふくらませますので、お腹が張ることがありますが、検査終了直前に内視鏡で空気を吸引し、検査後トイレでおならを排泄すると楽になりますので、心配はありません。
また、検査中にポリープなど異常を認めた場合は生検(腸の粘膜からごく小さい組織片をつまみ取 ること)や色素液をまくことがあります。炎症の程度や悪性度 をみるためで痛みなどはありませんので、安心して検査医の指示に従ってください。
生検結果は後日主治医より報告を受けて下さい。結果によってはポリープを切除する(ポリペクトミー)ことがあります。

医療レポート(内視鏡的ポリペクトミー)

大腸ポリープは大腸粘膜にできる腫瘍で前癌病変と考えられ、内視鏡的に切除する必要があります。スネアという処置具を使って粘膜に電気 を通し、焼きながらポリープを切断します。また扁平なポリープは粘膜切除術(EMR)といい、 粘膜下に生理食塩水を注射し粘膜を膨隆させてスネアで切る方法を使います。 

切除後、欠損した粘膜を1cm程のクリップで縫合します。クリップは約1週間で自然に脱落します。起こりえる主な偶発症は、切除断端からの出血や粘膜を焼きながら切断するため大腸壁に孔を開ける穿孔があります。全国での統計では、ポリペクトミー後の出血は1~2%、大腸の穿孔は0.01~0.02%といわれています。穿孔の場合には緊急手術になる可能性もあります。
偶発症は処置後24時間以内が最も起こりやすいため、当院では安全のために翌日までは入院し安静にしていただいております。

切除部位が治るには1~2週間かかりますので、この間は出血する可能性がありますので、激しい運動や遠出は避け、消化のよい食事をとりお酒や刺激物・タバコなども血管が拡張するため控えて頂きます。
切除したポリープは病理学的検査に提出し、約1週間後に最終的な診断を行います。良性であれば治療は終了です。癌が存在した場合でも完 全に切除できていれば安心ですが、腸壁内に癌の取り残しの可能性があれば追加で外科切除が必要になります。必ず病理結果を主治医に確認してください。

医療レポート(総胆管結石)

総胆管結石は胆汁の流れ道の総胆管に結石ができることにより、胆管炎や黄疸などの症状を引き起こします。
肝内胆管から十二指腸Vater主乳頭部までの胆道の機械的な閉塞により胆汁うっ滞を 来たす事のより閉塞性黄疸を発症します。血清中の総ビリルビン値が3.0mg/dl以上になると顕性黄疸として目が黄色くなり認識できます。当院での診断・内視鏡的治療に関して説明いたします。
閉塞性黄疸の診断には腹部超音波検査、腹部造影CT検査、MRCP検査、ERCP(内視鏡的膵胆管造影検査)が有用です。うっ滞した胆汁により肝内胆管は拡張し、超音波検査・CT検査で肝内胆管が拡張した脈管構造として認められます。MRCPは侵襲が少なく、閉塞部位の同定や結石の状態を把握するには適しています。
結石の確定診断や治療の為には内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)が必要です。ERCPは胆管を直接造影するため最も有効な検査ですが、侵襲的であり膵炎などを併発することがあり注意が必要です。ERCP検査により総胆管結石を認めれば、引き続き治療を行ういます。結石の截石術や胆道ドレナージ術の際には、処置具を挿入しやすく排石出来る様にするためにまず内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)を施行します。胆管内にパピロトームナイフを挿入し、出血しないように十二指腸乳頭を高周波で切開します。乳頭切開後にEMLクラッシャーを挿入し、透視下でバスケットを開いて結石を把持したことを確認し砕石します。そのまま乳頭から引き抜き出し、排石させます。

検査に伴う偶発症としては、通常の内視鏡検査に伴うものや造影剤よるもの、発熱、腹痛、胆管炎、膵炎、ショックなどがあります。日本消化器内視鏡学会の全国集計では偶発症の頻度は0.125%、死亡率は0.00808%でした。当院では、鎮痛剤、鎮 静剤を使用し検査を行うため、また偶発症を回避するため入院をしていただきます。細心の注意を払いERCP検査を行っていますが、やむを得ず偶発症が発生した場合は、外科的処置を含めた治療が必要になることもあります。

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